長野市 公認会計士・税理士・会社設立・創業支援
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武部会計事務所
Tax and management
税務・経営講座
これから起業・創業しようとしている方、起業したてで、税務・会計・経営のことをよく勉強したことがない、これから勉強しようという方に、なるべく専門用語を使わず、わかりやすく解説したものをUPしていきます。
こんな内容がわからないので、わかりやすく解説してほしいといった要望もお待ちしています。
事業をやっていて、これを知らないと損するといった内容も書いていく予定ですので、もう何年も経営している方でもぜひ一読してみてください。
2016年3月18日開業初年度は開業費の処理の仕方で税金が損になる?
個人事業で開業したばかりの方は必見です。
無駄な税金を払うことになっているかもしれません。
通常は開業時に先行投資がでるため、開業初年度は赤字といったケースが多いと思います。
今年は税金が支払わなくても済んでよかったと思っている方もいるかもしれません。
そういう場合、知らないうちに、無駄な税金を支払うことになってしまいます。
「税金を払わなくて済むのだから、無駄な税金は払いようがない」と思っている方もいるかと思います。
1年目は税金を支払わないのですが、2年目以降の長い期間でみた場合、損してしまうことになるのです。
無駄が発生するポイントとしては、「所得控除」、「開業費」の2点があります。
開業に関して特別に支出した費用を「開業費」として処理することで、無駄な税金を減らすことができます。
ポイント1 【所得控除】
まず、「所得控除」について解説します。
所得控除とは、いろんな種類がありますが、一般的なものとして、基礎控除38万円、生命保険料控除、個人事業主であれば国民年金、国民健康保険料といった社会保険料控除、青色申告事業者であれば、青色申告控除があります。
これらの所得控除は引ききれなかった部分については翌年に持ち越すことができないのです。つまり、事業が赤字だと、この所得控除を捨てることになってしまいます。
ポイント2 【開業費】
つぎに、「開業費」について解説します。
「開業費」とは、開業にかかった経費を翌年度以降に繰り延べして経費化できる科目で、「繰延資産」に該当する科目です。
いったん繰延資産として計上して、翌年度以降に償却していく処理をとることで、開業年度の赤字を少なく、または黒字化することができます。
黒字化できれば所得控除を使うことができます。
繰り延べした経費部分は翌年以降のいつでも償却できるので、利益が多額でたときに、償却することで利益を圧縮できるのです。
文章だけだとわかりにくいと思いますので、数字を使った事例で紹介します。
(事例の前提)
(単位:万円)
項目 | 1年目 | 2年目 |
売上 | 200 | 400 |
経費 | 100 | 200 |
開業関係の経費 | 100 | - |
どちらの年度も、青色申告事業者で、社会保険料の支払い30万円、所得税率5%と仮定します。
- ケース1 開業関係の経費を初年度経費とした場合
(単位:万円)
項目 | 1年目 | 2年目 |
売上 | 200 | 400 |
経費 | 100 | 200 |
開業費(経費処理額) | 100 | 0 |
事業の利益 | 0 | 200 |
所得控除(※1) | 133 | 133 |
課税所得 | 0 | 67 |
所得税額 | 0 | 3.35 |
※1 所得控除の内訳 青色申告控除 65万円 基礎控除 38万円 社会保険 30万円 合計133万円
- ケース2 開業関係の経費を開業費として処理した場合
(単位:万円)
項目 1年目 2年目 売上 200 400 経費 100 200 開業費(経費処理額) 0 67 事業の利益 100 133 所得控除 133 133 課税所得 0 0 所得税額 0 0
開業費で処理した場合 2年とも所得税額は0万円ですが、開業費として処理しなかった場合3.35万円の税金を2年目に支払うことになってしまいました
実際はこれに住民税、国民健康保険の金額が上乗せされるので、もっと差額が大きくなります。
ポイントは開業費として処理できるものは開業費として処理し、所得控除の無駄がないようにすることです。
また、2年目の開業費の償却を全額の100万円の処理とすると、3年目の税金の差がでてしまいます。2年目以降の開業費の償却によっても税金の差が出てしまいます。
詳しく知りたい方はお問い合わせいただければ、回答申し上げます。
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